理不尽に気づいたとき、問いは生まれる

「どうして私は、アイドルになれなかったんだろう」

そんな一言が、私の胸をふと締めつけました。

北朝鮮という抑圧された環境で生まれ育ち、
“おかしさ”を感じることすら許されなかった少女が、
自由を求めて命をかけて脱出した。

でも彼女は、こう語っていました。

「本当にアイドルになりたかったのか、今もまだわからないんです」

その迷いすらも、まっすぐで静かなものに見えました。

“問い”は、いつも明確な夢から生まれるとは限りません。
「なぜかわからないけれど、胸が痛む」
そんな揺らぎから始まる問いもあるのだと思いました。

脱北から始まった、問いの旅

この記事は、TBS NEWS DIGが報じたものでした。

TBS NEWS DIG
「なぜ自分はアイドルになれないのだろう」 MZ世代脱北者が語る北朝鮮体制への疑問 | TBS NEWS DIG 2023年に北朝鮮を逃れた、脱北者のキム・スヒ(仮名・20歳・女性)さん。JNNとの電話インタビューに応じ、金正恩政権を生きるMZ世代(1980年前半〜2010年代前半生まれ)の...

北朝鮮から脱出し、現在は韓国に住む女性が、
「なぜ自分はアイドルになれなかったのか」を語ったインタビューでした。

彼女は北朝鮮で、国のプロパガンダ教育を受けて育ちました。
外の世界については何も知らされず、
思考や夢の自由を持つことができなかったそうです。

それでも彼女は、あるとき“ズレ”に気づいたのだと思います。

「なぜ私は、この夢を語ることすらできないのだろう」
「なぜ、この気持ちは“間違っている”とされるのだろう」

そう感じた彼女は、脱北を決意し、命懸けで国を出ました。

その後、韓国で新たな生活を始めた彼女は、
「本当にアイドルになりたいのかは、今もまだわからない」
と語っていました。

問いは、今も彼女の中で生き続けているようでした。

問いは「ズレ」の自覚から始まる

彼女の語った言葉から、私はひとつの現実を感じました。

問いは、“わからないままの感情”からも芽生えるのだということです。

彼女は、自分の夢に確信を持っていたわけではありません。
でも、「夢を語ることすらできない」という違和感は、
深いところで確かに彼女を揺さぶっていたのだと思います。

この“ズレの揺れ”こそが、問いの起点なのかもしれません。

私自身も、かつて教員という枠の中で、
問いを持てずにいた時期がありました。

「このままでいいのだろうか」
「何かが違う気がする」

うまく言葉にはできなかったけれど、
そんなモヤモヤこそが問いの芽だったのだと思います。

問いは、夢や目標からだけでなく、
抑圧された環境の中で感じた“ズレ”からも生まれる。

そして、たとえその問いがまだはっきりしなくても、
人はその問いに導かれて少しずつ動き出すことがある。

そういうことを、この話は残している気がしました。

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